タンデムride初体験🚲~視覚障害者との交流から学んだこと

4月9日。24年のサイクリング人生で初めて、タンデム(二人乗り自転車)に挑戦してきました。

今を遡ること2か月。
twitter視覚障害者サイクリングイベントのスタッフ募集が出ていたのを見つけます。
そして「私でも役に立てるだろうか?」とtwitterに問い合わせの返信をしました。

というのも4年ほど前、怪我で介護の仕事を休んでいた時に「視覚障害者同行支援(ガイドヘルパー)」の資格を取っていたことを思い出したからです。

視覚障害者の外出サポートに必要な資格ですが、介護施設の勤務では使う機会もなくずっと宝の持ち腐れになっていました。
今度こそ、勉強したことが活かせる機会だと思ったのです。

ただ参加するにも不安はあります。
タンデムは車体が長く大きく、二人乗りをするとバランスが取りづらいと聞いています。

もし転んで参加者さんに怪我をさせてしまったらどうしよう。

でも…

怖いのは誰がやっても一緒。誰にだって初めてはある。
皆がリスクを恐れてスタッフ活動を敬遠したら、視覚障害者さんたちは活動の機会が奪われてしまう。

そう思い直し、スタッフに名乗りを挙げることに決めました。

そしてサイクリング当日。
集合場所の土浦駅では心臓が口から飛び出す程に緊張します。何しろペーパーガイドヘルパーですから、何か失態を犯してしまうのではないかと恐れたわけです。

一人、または二人連れで現れるブラインドの参加者さんたちに、何て声かけていいのか解らずにいたら…

私の不安を他所に、彼らは思いのほか外交的でした。
そしてのっけから話に花が咲き、しかもその内容に耳を疑います。

サイクリング以外にもスキー、サーフィンetc.
皆さまざまなスポーツイベントに参加してきたと言います。

…家でパソコンに向かっているだけの私よりずっと活動的じゃないですか(笑)

同行支援の講座でも「視覚障害者はとにかくアクティブだからそのつもりで!」とは聞いていましたが、想像以上でした。

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そしていよいよ「土浦りんりんポート」というサイクリングステーションに移動し、懸案のタンデムに跨がります。

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この施設は自販機で補給食ばかりか予備チューブや携帯工具まで販売している。

最初はパイロット一人。慣れたらブラインドの方と二人で。ステーション敷地内を軽く練習してから、霞ヶ浦サイクリングロードに出発します。

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写真では伝わらないが、霞ヶ浦はいつも強い風との闘いになる。

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最初の踏み出しの息がなかなか合わず、何度も漕ぎ出しでよろけてしまいました。でもブラインドの方が元々スポーツ好きで身のこなしが良く、怖がらない事に救われます。

特に私と組んだ方はタンデム経験者で、息の合わせ方でもパイロットの私をリードして下さる程のベテランぶり。

いつしか支援なんていう烏滸がましい観念は吹き飛び、私もすっかり素に返って交流を楽しんでいました。

そう人対人。そこに健常者も障害者もないと気付いたのです。

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道の駅たまつくり付近の緑地にて。

今日出逢った皆さんは底抜けに活き活きして輝いていました。
それぞれに打ち込める仕事を持ち、趣味にも全力投球しています。

そういえば、サイクリング後の食事会でも皆さんクラフトビールを堪能されていましたっけ。

 

月並みな感想になってしまいますが、障害を理由に人生を諦めない姿を見ていたら、仕事がちょっと上手く行かないくらいでクヨクヨしてちゃダメだなって思いました。

加えて、寧ろ彼らのほうが自分のやりたい事にフォーカス出来ているのではないか、とも感じます。

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ともあれ今回、ペーパーガイドヘルパーでも少しはお役には立てたようです。

歩いて移動するときに自分の腕を掴んでもらって歩く、階段や障害物を知らせるなどの所作は案外自然にできました。
今回組んだブラインドの方に「ガイドが上手!」と言って頂けて嬉しかった。

女性参加者さんが複数名おり、トイレには女性しか同伴できないのでマンパワーとして機能できたことにも満足しています。


これからも「自分にもできるかも?」と感じられる支援活動を見つけたら、躊躇せず参加していきたいものです。

ミッションを遂行する能力の有無よりも『携わって知ること・知って広めること』の方が重要ではないでしょうか。

 

※今回は二人乗りのタンデムパイロットのため、乗車しながら写真撮影をする余裕はありませんでした。すべて追走スタッフによる写真です。